休職から復職を目指す過程で候補にあがる「リワーク(職場復帰支援)」。実はひとくちにリワークと言っても、実施主体によって内容や費用がかなり違います。今回は3つの種類の違いと、利用の流れ、費用面での注意点を整理します。
リワークには3つの種類がある
- 医療リワーク:精神科・心療内科のデイケア等で行う、治療の一環としてのリワーク。認知行動療法や生活リズムの安定化、集団プログラムなどが中心。健康保険の対象になることが多いが、通常は自己負担が発生する(自立支援医療を利用できれば原則1割負担)
- 職リハリワーク:JEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)が運営する地域障害者職業センターで行う支援。本人・主治医・会社の3者連携が特徴で、費用は無料
- 企業内リワーク:勤務先が主体となり、産業医や人事、上司が関わって行う復職支援。試し出勤や短時間勤務、業務量の調整などを行う。内容や費用は会社の規程による
まだ症状の波があり治療と復職準備を同時に進めたい場合は医療リワーク、費用を抑えつつ会社との連携を重視したい場合は職リハリワーク、というように、自分の状況に合わせて選ぶ、あるいは組み合わせて利用するのが一般的です。
職リハリワーク(JEED)は無料で使える
特に知っておきたいのが、JEEDの地域障害者職業センターが行う職リハリワークは無料で利用できるという点です。標準的な支援期間は12〜16週間で、うつ病などの精神疾患で休職中であること、主治医が復職に向けた活動の開始を了解していること、本人・会社・主治医の3者が連携に同意できることなどが利用条件になります(雇用保険適用事業所に勤務していることが原則)。全国の地域障害者職業センターはJEEDの公式サイトから都道府県別に探せます。
医療リワークを探す場合は、まず主治医に院内または連携先のリワークがあるか相談するのが一番早い方法です。ほかに、日本うつ病リワーク協会の会員施設一覧や、厚生労働省の「こころの耳」の医療機関検索も参考になります。
傷病手当金を受給中でもリワークは利用できる?
結論から言うと、傷病手当金を受給しながらリワークに通うことは可能です。ただし、傷病手当金の支給要件は「療養のため労務不能であること」「給与の支払いがないこと」なので、リワーク参加そのものではなく、主治医・会社・保険者がそれぞれの状況を見て個別に判断します。
特に注意したいのは、試し出勤やリハビリ勤務、短時間勤務を始めると、「賃金の支払いがある」「労務可能」とみなされ、傷病手当金の支給に影響が出ることがある点です。リワークを始める前に、主治医・会社の人事担当・加入している健康保険の窓口の3者に、参加内容と傷病手当金への影響を確認しておくと安心です。
利用の流れと期間の目安
一般的な流れは、①主治医・会社・本人で相談し復職に向けた活動を始められるか確認、②見学・初回面談・申込み、③生活リズムや通勤・作業耐性などのアセスメントと支援計画の作成、④短時間・少日数から始めるプログラム通所、⑤勤務時間や業務内容、配慮事項について本人・主治医・会社で合意、⑥段階的な復職とフォローアップ、という順序です。
期間の目安は、医療リワークで数か月程度、JEEDの職リハリワークで標準12〜16週間、企業内リワークは会社の規程により数週間〜数か月とさまざまです。大切なのは早く終えることよりも、通所・通勤を無理なく継続できているか、症状が再燃した時に対応できる体制があるかを重視することです。
実際どのくらい復職につながっている?
JEEDの公表資料によると、地域障害者職業センターの職リハリワーク利用者の職場復帰率は年度によって84〜88%程度とされています。また厚生労働省の資料でも、医療リワーク利用者の復職後の就労継続率は、1年後で約80%、2年後でも約70%という報告が紹介されています。
ただしこれらの数字は、主治医の了解があり会社との連携も可能な状態で参加した人の実績であり、「利用すれば必ず復職できる」というものではありません。症状の十分な回復、再発予防策、復職後の勤務条件の調整など、複数の要素を組み合わせることが重要とされています。
相談を始める前に確認しておきたいこと
- 会社の休職満了日はいつか
- 主治医はリワーク開始を了解しているか
- 傷病手当金・給与補償への影響を健康保険者へ確認したか
- 復職先は元の部署か、異動の可能性があるか
- 復職後の勤務時間・残業・通院・業務量をどう調整するか
- 不調が再燃した時に相談する担当者と連絡方法を決めたか
まとめ
リワークは、治療の延長として使う医療リワーク、無料で会社との連携を重視できる職リハリワーク、実際の職場環境に即して調整できる企業内リワークと、それぞれ強みが異なります。まずは主治医に相談し、自分の状況に合った形を組み合わせて、焦らず復職への準備を進めていくことをおすすめします。


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